日常ツバメガエシ

スポーツ観戦好きの諸々スポーツ話

天皇杯4日目in代々木第二体育館


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公式の写真も出てた。本当にこちらの撮影現場と思われる。
あ、今大会、パリ五輪代表選手は全員不出場なのだが(なまじ出場して怪我でもしたら大変だしね…)、紹介の場があったのでそちらで集合。
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高谷大地選手と日下選手は協会本部表彰もあった。
で、先に協会本部表彰があったのだが、最初に出てきた高谷大地選手がめちゃめちゃ嬉しそう&楽しそうで、表彰のトロフィーと記念パネルを会場の方々に回りながらアピール。これがあったので、日下選手もそのノリでできて、なかなか雰囲気が良かった。
でもって五輪選手紹介で一言ずつ挨拶があって、樋口選手が「甘いものを食べずに頑張ります!」とネタにしたつもりが見事にスベり(本人が「あれ?」って言っちゃってた)、次に口を開いた高谷大地選手が超ガラッガラの潰れた声で、「男子は自分の声のように汚い色のメダル(銅メダルの意味)しかとれてないんですが、一番綺麗な色のメダルを目指して頑張ります!」と、とても上手くまとめていて「高谷兄弟のコミュ力凄い…!」と謎に感心したりした。
というか、声を潰してるのって多分…前日のお兄さんの応援ですよね…。そこも思うとこう、なんともこう…。


前日と同じように。
非五輪階級:1日で実施
五輪階級:最初の1日は準決勝までを実施、2日目に敗者復活戦&3位決定戦&決勝を実施。
最終日なので、1日で全て終わるもの(パターン1)、五輪階級の2日目:敗者復活戦&3位決定戦&決勝(パターン3)の2つ。


男子グレコローマン82kg級(パターン1)。
ええと…岡嶋選手と澤田選手という、名前を存じ上げている辺りが1回戦敗退から始まる番狂わせ、というか、世代交代、かなあ。
更に77kg級から階級を上げて出てきた東京五輪銅メダリスト・屋比久選手が準決勝で敗退。わー…。
暴れたのは早大勢の玉岡選手に掛川選手、でもって高校生の吉田選手。玉岡選手は屋比久選手と澤田選手を破り、掛川選手は岡嶋選手を破り、吉田選手はその掛川選手をテクニカルスペリオリティ。
吉田選手はU17世界選手権をグレコローマンで優勝している選手なのだそうで。日本は高校だとそこまでグレコローマンに力を入れていないので、グレコローマンの選手が上位まで残るのも結構大変なんだが、吉田選手は決勝まで残ってきた。
ただ…吉田選手、グレコローマンなの…?とてもスピードがある選手で、動きとしては、フリースタイルの選手と言われた方がしっくりくるタイプ。スピードで圧倒していきなり場外に押し出し(ステップアウト)するのをよく拝見していた。
いや、こういうタイプのグレコローマン選手がいてもいいのだろうけど。
で、結果的に吉田選手がスピードで制しきれなかった玉岡選手が、決勝を制して優勝した、という感じ。
掛川選手もスピードが結構ある選手だなあ、と思ったら、両スタイル兼ねてる選手で、初日の男子フリースタイル92kg級も3位に入っていて、両スタイルで50年振りの天皇杯の両スタイルメダリスト、になったのだそうで。それは凄いな。
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同大会の両スタイルでメダルを取ったのは、1973年の吉田光雄(両スタイル100kg級、専大=プロレスラーの長州力)以来、50年ぶり。

…有名すぎる御名前…!

女子59kg級(パターン1)。
非五輪階級である。が、ここに金城梨紗子選手が出てくるわけで。一応明記すると、旧姓:川井、つまり東京五輪女子57kg級金メダリストですよ。
ただ、この階級、もう一人印象深い選手が出てくる。徳原選手。
…最初に遠目で拝見した時、その…男子の軽量級の試合があるのかな、と誤認してしまって…。髪型もベリーショートなので男子選手っぽく見えてしまうのだが、それ以上に体格がちょっと男子っぽい。筋肉の付き方、というか。
で、プレースタイルも突如として4点ぶん投げとかやってくる、女子選手ではなかなか見かけないパワーレスリング。
で、準決勝は金城選手と徳原選手の対戦に。
徳原選手の勝ち上がりを拝見していると、金城選手も苦戦するのでは…と思わせた。
実際、徳原選手が金城選手に4点投げを決めたこともあり、6-4でリード。
ところが、残り10秒で、金城選手が徳原選手を背中から倒して4点、これで逆転。そのまま勝利。
…なんというか。金城選手の強さを見たような気がする。
精神論みたいな話になってしまうかもしれないけど、最後の最後まで勝負し続ける執念というか。なんかねえ、妹さんにはここが足りてないのでは、と思うこともあったりするのよ…。
そのまま決勝も大差でポイント勝利。いやもう、流石だよ。

女子50kg級(パターン3)。
うん、吉元選手が順当に優勝、という感じかな。須崎選手と対戦するとどのくらいまでやれるか、が気にはなる。
3位に高校生の坂根選手が入ったけれど、女子は割と高校生が良い成績を出しても驚かれづらいところはある。丹後緑風高=旧網野高(他の学校と合併して名前が変わった)だし。

女子57kg級(パターン3)。
南條選手がきっちり優勝していった感。決勝は失ポイントなしで手堅く勝った感じも。

男子フリースタイル97kg級(パターン3)。
3位決定戦、甫木選手がどういう試合をするか拝見したかったなあ。相手の園田平選手とどう戦うか拝見したかったんだけど、棄権しちゃったのよね。いやまあ、棄権は仕方ないんだが。負傷もあるだろうし、心も折れちゃってる可能性もあるので。
勝戦は吉田アラシ選手がテクニカルスペリオリティで勝利。とにかく勢いがあった。伊藤飛未来選手がリーチがあるので上手く使われると大変かと思ったんだけど、それよりタックルの速さと勢いがあった。文句なし。

男子グレコローマン67kg級(パターン2)。
3位決定戦の話からする。敗者復活戦を勝ち上がってきた上垣選手が二俣選手に勝利して3位。
上垣選手もずっと拝見している選手だから予想はしてたんだけど、上垣選手が二俣選手とまともに組むのを上手く避けていた感。上垣選手は割と組手がガチャガチャしてるタイプと認識していたので、ちゃんと組んでからの勝負になると強い二俣選手はやりづらい相手だろうな、と思ったし、事実そういう結果。清水賢亮選手が上がってきた方が相性は良かったかもしれない。
まあ、こういうタイプをちゃんと仕留めないとてっぺんを狙うのは難しい、ということかなあ…。
勝戦は結構接戦だったと思う。曽我部選手が優勝、五輪代表挑戦権獲得。
日体大の先輩後輩なのでお互い当然存じ上げてるし、遠藤選手も曽我部選手をちゃんと讃えるような仕草をしていたけれど、まあそれでも遠藤選手の悔し涙は止まらず、で。
で、レスリングは最後に相手のセコンドに挨拶に行くのだが、曽我部選手は日体大現役選手なので、相手のセコンドは日体大の松本慎吾監督、当然のように遠藤選手の恩師でもあるわけで。
遠目から拝見しても、明らかに労わってるように見受けられた。そうだよねえ…

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って、めっちゃもらい泣きされてるじゃないですか…!
こういう大事な試合の時の教え子対戦、教え子が天国と地獄に分かれるんだもんな。しかもこんな泣かれたら、なあ…。

男子フリースタイル65kg級(パターン2)。
敗者復活戦の話から。前日に清岡選手が勝ち上がったため、敗者復活戦の最初が長谷川選手vs三輪選手。元57kg級vs元74kg級、元々の階級差4つもある対戦とかそうそうないよ…。
長谷川選手が57kg級にしては身長が高め(167cm、むしろよく57kg級でやってたな…)なので、そこまで三輪選手(173cm)と身長差はなかったものの。
どちらも出場してきたので、どんな感じか楽しみにしていたら、なんと長谷川選手がスピードを生かして攻撃、10-0のテクニカルスペリオリティ。え、こんな差がある…?ちょっと面食らった。
勿論、三輪選手が減量厳しいとかもあるかもしれないし、長谷川選手は(この身長だし)減量楽になったかもしれないのだが…。
残念ながら、その後は相手の棄権2つでそのまま3位になってしまって、試合拝見できなかったんだが。山口海輝選手も乙黒拓斗選手も強いので、試合拝見してみたかったなー。でもまあ…負傷もだけど何より心折れるしね…ここは仕方ない。
あ、この階級だけじゃないけど、五輪の道が閉ざされても、敗者復活戦や三位決定戦にちゃんと出場する選手の皆様も偉いよ。
決勝だが…清岡選手が強い…。小野選手の相当なスピードを全く苦にしない、テクニカルスペリオリティ。是非、五輪行ってもらいたいものだが。
余談だが。
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男子フリースタイル65kg級は清岡幸大郎(日体大)が勝ち、女子55kg級は妹の清岡もえ(育英大)が勝った。これまで、兄弟や姉妹で同時優勝した例はあるが、兄妹での同時優勝は初。

…あ。清岡もえ選手って妹さんだったんだ(そこから)お兄さんが日体大だから妹さんも日体大に行くのはありだっただろうに、育英大に行ったんだねえ。選択肢として分かるけれど。
兄妹の同時優勝が初、も意外。

女子68kg級(パターン2)。
石井選手は敗者復活戦を棄権。そりゃそうだ、プレーオフ控えてるもの。
決勝はどうなるかと思ったら…尾崎選手がポイントを重ねていって、失ポイント0で優勝。つ、強い…。
尾崎選手は166cmあるので、階級を1、2階級あげてもすらりとした体格をされているし、身長も他選手と遜色ないのだが。
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それでも、今回の計量では63kgを切っており、パワー的にはかなりのハンディで闘っていた。

まだ体重足りないのね…。
毎回思うけどレスリングの「太れない」は、どれだけ練習で凄まじい動きをしているのか、というのは、正直。




長い戦いの4日間。本当に選手関係者の皆様、お疲れ様でした。