日常ツバメガエシ

スポーツ観戦好きの諸々スポーツ話

天皇杯3日目in代々木第二体育館(12/29記載)


駒沢体育館が改修に入ってしまったので、久々に代々木第二での開催。
9時半から20時半ぐらいまで拝見していた書き手。流石に試合後の表彰式はパスしたよ…。
この日はチケットがかなり売り切れていて、人も結構ぎっしり。会場も暑い。関係者が自分に関係のある選手が試合終わると帰るので、決勝ぐらいになると割とひとが減ったけれど。


この大会は五輪代表もしくは五輪代表権取得者が決まる大会。
なので、五輪代表の話をおさらい。
www.japan-wrestling.jp
五輪代表権の話は五輪公式サイトにあった。
olympics.com
まず、今年の世界選手権で「五輪代表権」(要は日本選手が五輪に出られる権利)をゲットしたのが、各種目6階級中、女子6階級・男子フリースタイル2階級・男子グレコローマン2階級。
はい、女子は五輪代表権利、全階級持ってる。凄いよねえ。
そのうち、五輪代表(世界選手権3位以上)が決まっているのは、女子5階級・男子フリースタイル2階級・男子グレコローマン2階級。
というわけで、女子は1階級・68kg級だけ五輪代表が決まっていない。誰かが出場はできる。
世界選手権で5位&代表権取得試合に勝って代表権をゲットした石井選手が1歩有利で、天皇杯を優勝すれば五輪代表が決まる。石井選手以外が優勝したら、石井選手と優勝した選手でプレーオフ
男子の五輪代表が決まってない階級は、全部この後の大会に、天皇杯の優勝者が出場して、代表権をとってこなければならない。アジア予選2位以内か最終予選2位以内or3位に入って代表権取得試合で勝利。ただ、男子に関しては、決まっている階級がちょっと問題になってきたり。


さて、天皇杯の試合形式は相変わらず特殊。
非五輪階級:1日で実施
五輪階級:最初の1日は準決勝までを実施、2日目に敗者復活戦&3位決定戦&決勝を実施
ただ、今回、女子に関しては1階級以外、意味があるのか不明ではあるのだが…。
というわけで、1日で全て終わるもの(パターン1)、五輪階級の1日目:準決勝まで(パターン2)、五輪階級の2日目:敗者復活戦&3位決定戦&決勝(パターン3)とある。
今回も階級ごとに、パターンを記載して感想を。


男子フリースタイル70kg級(パターン1)。
意外とエントリーが多い。74kg級が五輪代表決まっているので、将来の74kg級アップを狙って次回五輪は、という選手もいるであろうし、まだまだ若い選手(高校生の大会上位選手も出られるので)もいれば、今年「一区切り」をつける選手もいれば、単純にレスリングの試合に出たい、という選手もいる。
そう、天皇杯、最高峰の戦いであるものの、「単純にレスリングの試合に出たい」選手もそこそこいる。
社会人オープン大会みたいな、エントリー自由な大会で3位以内だったかな、それで天皇杯の出場権が得られるので、そういう選手も混ざってくる。
ただ、結果としては、エントリー時点での展望通りに、青柳選手が優勝したのだけれど。
青柳選手はやっぱり1つ抜けてるよなあ。大学4年生で、卒業後もレスリングを続けられる環境で、74kg級でロス五輪を目指す方向とのこと。
3位に自由が丘学園高の山口選手が入った。青柳選手に敗退したんだが、それ以外の試合は見事な試合だったので、この先の成長が楽しみな一人。

男子フリースタイル79kg級(パターン1)。
木下選手が79kg級に参戦。まあ、減量に無理がなくなるしね。こちらの階級は長いこと出場している選手が結構目に付いたので、そういう意味でも面白かったかも。
で、このベテラン多めの階級で、優勝したのは神谷選手。大学1年生の全日本大学選手権チャンピオン。若い…。
木下選手を最後に倒したのは素直に凄いと思うよ。


パターン2は前日の結果を踏まえつつ。
www.japan-wrestling.jp

男子フリースタイル57kg級(パターン2)。
五輪階級だけれどパリ五輪代表が決まってしまっているが、それでもここで戦う選手の方々。自衛隊の選手が多かったなあ、そういえば。
その中で優勝したのは、大学2年生の弓矢健人選手。また若い選手が出てきたかあ…。決勝で結構あっさりテクニカルスペリオリティで勝利してしまったところしか拝見できていないので、まだなんとも言えないけれど。
ちなみに同じ階級で、今回準々決勝で敗退した弓矢暖人選手はお兄さん(大学4年生)。

男子フリースタイル86kg級(パターン2)。
五輪階級、代表権をとってないので挑戦権を争う戦い。というわけでエントリーも結構なごつい面々。だからか、決勝までの勝ち上がりも結構な僅差なんだよねえ。
3位決定戦は結構大差がついたけれど、決勝も僅差。まあ、そうなるか…。
www.tokyo-sports.co.jp
なお、結構なベテランになってもきっちり決勝まで出てくる(そして五輪すら狙っていた)高谷惣亮選手、現役続行明言してるよ。凄いなあ…。

男子グレコローマン60kg級(パターン2)。
五輪階級だけれどパリ五輪代表が決まってしまっている。
とはいえ、意外と若い選手は少なめか。まあ、グレコローマン軽量級なので、出場できる選手が限られる階級ではあるか。
優勝した稲葉選手は、次の五輪を目指すのかは分からない(年齢的にも割と上の方だし)けれど、文田選手を破りたいとのことなので、もしかしたら数年後の世界選手権とか狙っているんだろうか。

男子グレコローマン77kg級(パターン2)。
五輪階級だけれどパリ五輪代表が決まってしまっている。そのせいか、エントリーも多くなく、書き手も見慣れない名前が多めかもしれない。
決勝は大学生対決。次世代、なんだろうなあ。
優勝したのは大学3年生の堀北選手。ああ、日下選手の直属の後輩。先輩越えてロス五輪を目指す、なんだろうなあ。
ちなみに同じく次回を狙う立ち位置で今回3位の山田脩選手、実はフリースタイルとグレコローマンの学生王者なので、フリースタイル79kg級とこの階級に出ていて、試合が続いてしまったりしていた。お疲れ様。

男子グレコローマン67kg級(パターン3)。
五輪階級、代表権をとってないので挑戦権を争う戦い。…なんだけど、も。
結果としては、遠藤選手と曽我部選手が順調に勝ち上がり。割と無風ぐらいの順当…と言うのも微妙だな、曽我部選手の山は書き手が結構存じ上げてる選手が多めで、難敵揃いだったと思うし。
で、話は早い時間に戻る。
書き手は最近大会を飛び飛びで拝見してたので、特に若い選手に疎かったりするんだが、フリースタイル70kg級で存じ上げてる名前を拝見していた。二俣選手。
何故名前を知っていたかというと、日本体育大時代にレスリング部のブログを更新している広報さんだったので。最後に署名があるから存じ上げていた。広報さんでも現役部員であったので、成績がないと出場できない天皇杯に出場していてもおかしくはない。前例も存じ上げてる。
二俣選手は現在は島根・隠岐島前高教員。フリースタイルは社会人オープン優勝で天皇杯の出場権を得たっぽい。
予備戦*1でテクニカルスペリオリティ*2で勝利して、ほうほう頑張ってるなあ次はどうかな、と思ったら、1回戦で棄権して。
あれ?と思ったら、隣のマットのグレコローマン67kg級予備戦で二俣選手の名前が呼ばれて、普通に出てきた。
…ええと。つまり、フリースタイル70kg級とグレコローマン67kg級、ダブルエントリー…。
いや、あの、ダブルエントリーは分かる。実は今大会ダブルエントリーの選手は多くて、二俣選手もグレコローマンでは国体成年男子2位。エントリー後に試合日程が決まるので、エントリー後のスケジュールどんかぶりも仕方ない。
なんで両方とも出場してるの?別にエントリー後にでも、片方棄権とかできるんだけど。
しかも、グレコローマンの試合は対戦相手が成國選手とか。いや決して弱い相手じゃないぞ。片方に絞らなかった意味は…。
…って思ったら、成國選手にテクニカルスペリオリティで勝ってしまった。確かパーテーションからの4点投げと、スタンドからの4点投げで。
拝見していると、とてもグレコローマン的動きをする選手。スタンドでもがちっと組み止めてから、豪快に投げで勝ってくるタイプ。日体大OBらしい正統派のグレコローマンである。
組み手で組ませない、組際で投げてくるタイプも結構いるんだけど、この手のタイプの選手、嫌いじゃないんだよねえ…。
二俣選手は全日本大学選手権グレコローマンで優勝経験もある選手なので、こちらが本職なのだろう。経歴等考慮すると、恐らく67kg級で五輪を目指して、というよりも、レスリング出場したいタイプみたい。
…いかん、この手の意味わからない選手嫌いじゃない…(あ)
準決勝で曽我部選手に敗退したけれど、それまでの3試合、全て高得点の投げ技を決めてテクニカルスペリオリティ。個人的に滅茶苦茶楽しんだ。しかし、準決勝まで来てる時点でちょっと五輪見えたんだよなあ…。

男子フリースタイル65kg級(パターン3)。
五輪階級、しかも東京五輪金メダリストの乙黒拓斗選手が鎮座している階級。
この階級が代表権とれていない*3。この状況もちょっと予想外。
加えて、上下の五輪階級・57kg級と74kg級が五輪代表決定済。これで65kg級に、上から下から五輪出場したい選手が集合。まさかこんな地獄階級になるとは…。
エントリー時点で、57kg級の長谷川選手と74kg級の三輪選手が出場、と知って、うわあとなったもの。
で、組み合わせが出たら、両名が左下に集まるトーナメント。レスリングの神様何するの…。しかもそこに名前のある清岡選手、確か最近出てきた大学4年生の強い選手…。
で。清岡選手が決勝に上がった。乙黒拓斗選手を超僅差で準決勝で破って。
いやあの、準決勝やべえだった。ポイントもさることながら、清岡選手が2回チャレンジして2回成功してた僅差。乙黒拓斗選手も全然衰えてるわけじゃない。スピードほぼ互角にできる選手はなかなかいない。
一方、トーナメントの逆側には、乙黒拓斗選手のライバル・安楽選手がいた…のだが。なんと安楽選手まで準決勝敗退。
大学2年生の小野選手があがってきた。御名前を認識していなかった。61kg級の選手で、57kg級でチャレンジしようと思ったけれど、多分体重的にうまくいかなくて(2022年天皇杯と2023年明治杯棄権)、今回初めて65kg級にあげてきたそうで。かなりスピードと勢いのある選手。

男子フリースタイル97kg級(パターン3)。
五輪階級、代表権をとってないので挑戦権を争う戦い。
第1シードの石黒峻士選手が準決勝で敗退。勝ち上がったのは伊藤飛未来選手。一目で分かるでかさの193cm。マットが小さく見えるよ…。
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お父様がレスリング、お母様がバレーボールのオリンピアン。長身はお母様DNAっぽい。
もう片方は吉田アラシ選手が勝ち上がり。
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こちらも御名前も知れているし、実績も積み上げている選手。ちなみにお兄さんのケイワン選手も同じ階級で出場していたりする(石黒峻士選手に準々決勝で敗退)。
あと、この階級で気になったのは甫木選手。…え?高校生?体格、大人にしか見えない…。マジで…?線の細さを感じない偉丈夫。吉田アラシ選手に敗退したけれど、もうちょっと拝見していたい選手。

女子50kg級(パターン3)。
五輪階級だけれどパリ五輪代表が決まってしまっている。
なので次世代…なんだけど、次世代というほど年齢が下でない、順当にシード選手の吉元選手と伊藤海選手が勝ち上がってきた感。

女子57kg級(パターン3)。
五輪階級だけれどパリ五輪代表が決まってしまっている。
ここも結果だけ拝見したら順当、ではあるんだが。
南條選手vs屶網さら選手の準決勝、実は屶網さら選手が5点リードして前半折り返して、これは南條選手もきついのでは…と思った矢先、いきなりぶっ倒してそのまま大逆転フォール勝利。勝ち方が強い…。
もう片方の山は田南部夢叶(ゆめか)が勝ち上がり。1回戦の相手が山下叶夢(かのん)選手との試合で、下の名前が漢字一緒で並び方逆だなあ、と思ったりしたとか(そこ?)

女子68kg級(パターン3)。
五輪階級。パリ五輪出場権はゲットで代表が決まっていない、もう世界選手権で代表が決まらなかったことが決定した瞬間に、地獄が見えていた階級。
だって、62kg級で五輪代表逃して、世界選手権を65kg級で金メダルとった選手がその時点で見えてるんだもの…。
で、五輪出場権はゲットしたけれど5位だったので代表に決まらなかった石井選手と、65kg級世界選手権金メダリストの尾崎選手が予備選で当たる組み合わせ。ちょっと、レスリングの神様マジでなにしてくれんの。
で、尾崎選手が石井選手をぶっ倒したので、石井選手と天皇杯の優勝者のプレーオフがその時点で決定。…これ、尾崎選手が本当に強い感じで勝ってたのがもう…。
で、68kg級はそれだけじゃなく、上から下から強い選手ががっつり集まってきていて、名前も存じ上げている選手ばかりで、誰があがってきても…ではあった。
片側は森川選手。こちらは東京五輪代表決定前から68kg級メインだったけれど、昨年68kg級で世界選手権代表になれずに72kg級世界選手権代表、3位の選手。というか、63やら68やらでしのぎを削ってきた選手だから当然お名前は存じ上げてる。宮道選手や古市選手をぶっ倒して。
もう片側は…尾崎選手来たか…。
ただ、ここはちょっと面白いことに。尾崎選手が進藤選手も倒して上がってきたのは流石なのだが、逆側。吉川選手が松雪成葉選手と川井友香子選手を倒して上がってきた。
…ちょっと待って、吉川選手の名前がちょっと分からない…んん?吉川選手、つい最近名字変わっていらっしゃる!そういうことか。
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ただ、高卒→「一般の」自衛隊、からの自衛隊体育学校。この経歴はエリートではないんだよねえ…。ずっと成績はコンスタントに上げてはいるけれど、代表まではなっていなかった選手。エリートの選手を倒して準決勝まで上がってきた。これは番狂わせだったかもしれないなあ…。
ただ、じゃあ他の誰かが尾崎選手を止められたかというと…ねえ…という感じの尾崎選手の勝ち上がりだった。石井選手相手が一番苦労したんじゃないかな。
そういえば今回、エントリーはしていた源平選手は出場できなかったんだよね。出場していたらどうなってただろうか。いや、もっと地獄だよ分かってる。


地獄は翌日に続く。そしてそれを楽しむ悪趣味も続く。

*1:この言い方慣れないんだよね、別に1回戦でいいのになあ…

*2:旧テクニカルフォール

*3:世界選手権で乙黒拓斗選手が故障抱えた状態で試合に出ていてとれなかった