日常ツバメガエシ

スポーツ観戦好きの諸々スポーツ話

明治杯in代々木第二

明治杯は2日間開催、本日1日目。12月の天皇杯は3日間開催。天皇杯だとだいたい10時ぐらいに始まって、終わりは16〜17時。それを2日間に階級ぎゅっと詰めたら、そりゃあ終わりは20時30分とかになるわ。へろへろだよ…。プレーオフ*1もあったしね。というわけで、以下、感想を箇条書き形式で。
詳細結果は日本レスリング協会より。

  • レスリングは新階級区分になって、今回が国内で開催する初めての新階級の大会になる。で、新階級には「世界選手権では試合するけど五輪では試合しない」という階級が、男子グレコローマン・フリースタイル、女子の3種目でそれぞれ2階級あり、それが全部、明治杯1日目に入っている。ちなみに2日目はいかにも客を呼びそうな階級が目白押しになっている。そう、1日目は日陰階級の日(それを言うな)。
  • 女子55kg(五輪非開催階級)。五輪を目指して階級変更者が出ていて、寂しい階級…の割に、初戦で菅原選手vs堀内選手って何。堀内選手が故障で苦しんでいるとはいえ、元々期待されていた選手なんだけどね。あと、群馬大・木村選手がなかなかいい感じを受けた。ジュニアで実績のある選手なんだね。
  • 女子60kg(五輪非開催階級)。結構エントリーが多かったのは、それぞれ上に行くか下に行くか決めかねてるのかなあ。一番のびっくりは、村田選手がここだったってことだが。55kgから60kgにいきなり来るとは。58kgとかにするならまだわかるけど。減量で無理してたのかなあ…。
  • 女子63kg。女子は重量を増やせば増やすほどエントリーが減るのはしょうがない。伊調選手がいなくなっただけのはずなんだけど、どうも地味な階級になっているような…。
  • 女子69kg。旧67kgの選手はここに来た…はずなんだけど、実はエントリー4名。75kgよりも少ないとは思わなかった…。まあ、旧67kgは五輪非開催階級だったしなあ。まあ、新海選手が旧72kgから落としてきたのは少々驚いたが、75kgにアップするのがしんどかったんだろうなあ。ただ、それでも土性選手がちょっと実力抜けた感。ばんばん豪快に投げてきて怖かったよ!
  • 女子75kg。旧72kg(一部階級下げた人除く)。浜口選手が故障で欠場したため、鈴木選手の独壇場になっちゃった。
  • 男子フリースタイル61kg(五輪非開催階級)。五輪開催階級が57kgと65kgで、旧60kgの選手でどちらにするかを決めかねている選手が相当数いるようで(だろうなあ…)、エントリーが多い。昨年天皇杯の60kgベスト4までが全員ここ。ぶっちゃけ、高塚選手が残ってしまったので、彼の独壇場になってしまった感。鴨居選手や阿部選手もいい若手っぽいんだけど、更に1枚上手だなあと。
  • 男子フリースタイル97kg。旧96kgがそのまま移行。が、今大会、昨年天皇杯優勝の山口選手が怪我で長期療養のため棄権&恐らく復帰は年末の天皇杯っぽいので、この大会を制したものが大会代表、と推定されるわけで。で、もしかしたらこの日一番の番狂わせだったのかもしれない。当たったシード選手を悉くダウンさせた鈴木聖二選手が優勝。実は元々旧84kgの選手だったそうで、今回で97kgに上げての挑戦だったとか。しかし、毎回この階級で思うけど、中井選手が好きな選手とかそういうのではなくてハラハラする。97kgともなればそこそこ俵体型選手が多め(柔道ほどじゃないけど)な中、188cmも上背あるから細長くて。怪我しそうとかスタミナ大丈夫?とか、そういうところがハラハラする。パワーレスリングしがちな重量級では、手の長さを生かして足を取って崩すところも異色だし。
  • 男子フリースタイル125kg。旧120kg。…決勝戦って照明を落とすのだが、つい連日の疲れが出て転寝したら、おもいっきり125kgの決勝見逃したという。荒木田選手に土をつけるのだから、岡選手との実力差は縮まってきたのかなあ。
  • 男子グレコローマン71kg(五輪非開催階級)。旧66kgと74kg、新66kgと75kgが存在して、新設隙間階級。なので、エントリー少数。決勝戦自衛隊対決(江藤選手は練馬駐屯地所属だけど)になって、自衛隊体育学校の応援の皆様が静かにならざるを得なかったり。
  • 男子グレコローマン80kg(五輪非開催階級)。旧74kgと84kg、新75kgと85kgが存在して、新設隙間階級。なので、エントリー少数…なのに、旧84kgの昨年天皇杯優勝者、鶴巻選手がここだと…!?体重の問題もあるのだろうか。流石に圧勝気味。そしてここも同じく自衛隊体育学校対決の決勝。
  • 男子グレコローマン98kg。旧96kg。齋川選手が企業所属から教員に転進し、ちょっと第一線から引き気味になったはず…なんだけど、全然他の選手を寄せ付けやしない。本当にこの心境で、練習量も3分の1とかなの…?(日刊スポーツより)えーと。
  • 男子フリースタイル86kg。旧84kgがそのまま移行。一応この日の一番の本命階級、かなあ。松本篤史選手は…実は準決勝が辛勝も辛勝で。正直ここで負けるかと思った。相手の赤熊選手が足へのタックルが得意みたいで、松本篤史選手は実は足への攻撃に脆い弱点があって、準決勝はそこがモロに出た感じ。ただ、決勝ではそういうシーンがなく。松本真也選手との「いつもの」対戦だったけれど、意外と危なげがなかった。調子としては松本真也選手の方が良さそうだったんだけど…。
  • 男子フリースタイル70kg(五輪非開催階級)。旧階級が66kgと74kg、新階級にも65kgと74kgがあるので、隙間階級のはずなのだが、それにしてはエントリー多いなあ。ここでの特筆は、昔は66kgで活躍して、昨年の天皇杯で74kgで復活した小島選手がエントリーしてきたこと。また、この日は非常に調子がいいのか、いいレスリングを展開しまくって優勝。更に、プレーオフ天皇杯優勝の保坂選手には、投げを決めてそのままフォールという美しい撃破。お陰ですっきりと帰れた。…ええ、残り1試合あったけど帰ったよ?
  • 男子グレコローマン59kg。今回の新階級設定で一番の「改悪」が、フリースタイル・グレコローマン共に、旧55kgがすっぱりなくなっているってこと。選手の大型化が進んでいるからとか言ってるけど、結局小柄なアジア系の選手に勝たせたくないだけなんじゃないの、とは言いたくもなるわけで。で、旧55kgの選手は59kgに行け、ということになるのだが、旧60kgの選手もほぼ59kgになってるわけで。なので、エントリー数も多い、強い選手もごろごろというカオス状態。そもそも、唯一発生した1回戦(しかもその日の第一試合)が、旧55kgの若手有望株・文田選手、vs旧55kgのALSOK所属で実績も多数の尾形選手(=多分昨年の天皇杯の3位決定戦対決再戦)とか、ちょっと待てよ、と言いたくもなる。しかもそこでの勝者、次の相手が旧60kgの昨年の天皇杯優勝者・倉本選手と当たるという。ちょっと…。旧55kgの昨年の天皇杯優勝者・田野倉選手の初戦も、旧60kgで珍しく170超えのリーチの長い曲者ベテラン選手・峯村選手とか、それ結構厳しい相手なんだけど…。そんな恐ろしい中、倉本選手は昨年調子が悪くてシード落ちしてるけど旧55kg級のロンドン五輪代表・長谷川選手に投げられて準々決勝で姿を消すことに。そしてそんな中で、19歳(!)の若手、下山田選手(旧60kg)が準決勝まで勝ちあがる。…この中でそういう余地があるって凄いな…。流石に長谷川選手に準決勝で敗れたとはいえ、凄い勢いもあったよ。田野倉選手はベテランの難敵やらインカレ覇者やら、元60kg相手をがつがつ負かせていき、旧60kg級の若手では一番の難敵であろう太田選手からも勝って、決勝へ。…なんでこう、パワーのある旧60kg相手とばっかりやってるんだろうな。決勝は旧55kgとの対決に。ここは長谷川選手が勝利だけど、いやあ、これはいい試合。お互いばんばん攻めてたしね。長谷川選手の投げが決まったのが勝負の分かれ目。実は個人的には大満足の階級だった。…プレーオフが始まるまでは。
  • 男子グレコローマン59kgプレーオフ。旧55kg+旧60kgという唯一特殊な階級のため、天皇杯のどちらかの優勝者が明治杯をとったら、そこで代表が決定していたっぽい。が、今回はどちらも敗退。ということで、天皇杯の優勝者同士で対戦をし、勝者と明治杯優勝者で対戦という特別ルール。で、問題は、天皇杯の優勝者同士の対戦。1つはルール的な話。今回は倉本選手がちょっと早めに敗退したため、田野倉選手よりも実施試合数が2試合少なくなっている状況。この大激戦区で、実施試合が2試合少ないってのは、スタミナ面考えたら有利すぎやしないか…?先に敗退した方が有利になる、というルールはどうなのだろう。どちらも負けたんだからしょうがない、って言われるのかもしれないけど、59kgだけは、別途仕切りなおしで試合した方が良かったかもなあ…と思わなくもない。実際、田野倉選手は、後半明らかにばてて防戦が精一杯で、こんな試合になるんだったら、お互い同じ条件化で、面白い「天皇杯覇者」対戦、見たいじゃないの、と。もう1つはね。…ちょっと倉本選手がね…。グレコローマンで、足を攻撃するのは反則になる。ルールに則ると、一発コーションで1点相手に入る。上のレベルの選手でこれがとられることはあまりない、のだが。この試合、実は2回出しちゃったんだよね…。勝ちたい気持ちは分かるけど(それはガンガン攻撃してた倉本選手の姿で分かりすぎるけど)、倉本選手のレベルで2回はなあ…。しかも、2回目のそれは…実は田野倉選手が場外際で倒されたところで、倉本選手にポイントが入って、丁度、田野倉選手のセコンド目の前でのプレーだった。で、セコンドからチャレンジが入って、それで倉本選手のポイント取り消し&足攻撃コーションが認められたのだけど。…チャレンジなかったら、レフェリー気づかなかったわけで。…うん、あまりいい気分は…しないよね…。…疑いたくはないけどさ…。というわけで、それもあったので、倉本選手が勝利した後の長谷川選手とのプレーオフ、見ないで帰っちゃった(あ)20時過ぎにフリースタイル70kgのプレーオフが終わって、それから20分近く間空けるって言うんだもん…。長谷川選手が勝利したみたいだが。
  • しかし、グレコローマン59kg、面白い試合が多いのもさることながら、結構個性強いのが集まっちゃった。田野倉選手も個性強い。グラウンドからの投げが相当強くて、持ち上げて(最軽量級選手なのに…)ぶん投げまくるくせに、自分がパーテールポジションになった時は、相手に多少捕まってもすぐスタンディングに戻っちゃう。普通はそのまま床に潰れて、相手の攻撃を凌ぎ切ろうとするんだけど…。一方、太田選手は体が非常に柔軟で、前見た時も思ったのだが、投げられても空中で体勢立て直して(身体感覚もいいのかも)、床に背中から落ちることが殆どない。なので、投げられた時の失点が最小限で済んでしまうという。それもあって、太田選手を勝手に「軟体猫人間」と呼んでいる(え)。なので、準決勝の田野倉選手vs太田選手は、太田選手がテイクダウンを何度かとられて7点差の状態で、太田選手パーテールポジションから潰れ→田野倉選手が持ち上げ→太田選手が空中でじたばた暴れるけど気にせずぶん投げ→太田選手が空中で体勢変えて足から着地(!)投げられた先が場外だったってこともあって、それで1点入って8点差テクニカルフォールだったのだが、なんというか「勝った気がしない」シーンではあった。

*1:大きな大会の代表選考のために、前年天皇杯優勝者と当年明治杯優勝者が異なる場合実施。勝った方が代表となることが多めだが、今年は例外有。本文内記述