気に入った選手ができると、自分の知らない「それまでの経歴」が気になってしまって調べる、なんてことは、よくある。その場合の経歴は、高校時代の経歴であることが多いのだが。
その時もそうだった。高校時代はどうだったのだろう、と。
わかったことは、彼が二番手投手だったこと、所謂エースの投手は別にいたこと、その夏はちょっと特殊な夏であったこと、そのエースの投手は…とても大変な経験をしていたこと。そして「エースになれなかった」彼が、忸怩たる思いでいたことも、後で知った。
彼が勝てなかったエースはどういう投手だったのだろう。大学で野球を続けているのもわかったので、少々気にかけていた。どこかで見ることができるだろうか、そう思いながら。
ある時、ふと大学のサイトの名簿を見たら、そのエースの名前が消えていた。
再びその名前にめぐり合ったのは、本日。本当に偶然だった。家にあった、とある方から頂いた物の包装紙として使われていた、スポーツニッポンのこの記事だった。
名前が消えた理由も、こんなところで分かるとは思ってもいなかった。
当時エースだったひとは、野球ではないけれど、自分の道を見つけて歩いていく。
当時エースになれなかった彼は、その時の思いを胸に進学した先のチームでエースになり、そこから更に社会人でも野球を追い続けていこうとしている。
偶然が重なって、ほんの一端に触れた者は、ただ祈る。
それぞれの道を、どんな困難があっても、歩いていけるといい。